第三期の伴走を終えて

自啓共創塾では、塾長や塾頭であっても、それは塾生に教える立場にあるのではなく、ともに学ぶものであり、また、塾生が学ぶための伴走者であるという立場をとっています。

 

そこで、塾長、塾頭、事務局メンバーが第三期を通じて何を学び何を感じたかについてここに掲載することに致しました。

事務局 柏木満美

 

事務局としてご縁をいただいて丸3年、今期も主にメールのやり取りを中心に塾生の皆さまと関わられて頂きましてありがとうございました。

 

副教材を読み話題提供の先生のお話を拝聴していると「日本のこころ」らしいイメージがぼんやりと立ち現れてくるのですが、それを言葉で表そうとすると難しいものです。言葉では表しきれないものがあるから、言葉にしたとたん何か少し違う感じがしてしまうのです。でも感じている。この「感じ」こそが自分の中の「問い」で、この「感じ(問い)」を持ち続けることが大事なのだと丸3年経って思っています。ですので、塾生の皆さまにもこれからも大いに私達と関わっていただき、時に対話の機会を得て、互いに自身の問いを深め合っていけたらと思っております。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

事務局 松本亮太

 

塾生の皆様、卒塾おめでとうございます。日本のこころを学ぶ自啓共創塾へは事務局の一員として参加させて頂きました。毎回塾生お一人お一人の言葉にハッとした気付きがあります。俳句では「自立」「他力」「合力」と言います。はじめは自分の力で俳句を詠み、鑑賞者からの指摘に気付き、最後は読み手と鑑賞者がひとつになって新しい世界を拓いていく。自啓共創塾で得た日本のこころへの気付きから、卒塾生の皆様が新しい世界を切り拓く原動力となれば事務局として嬉しく思います。

塾頭 冨田直子(第三期アドバイザー、第四期より塾頭)

 

自啓共創塾の第二期卒業生として、まだ学び足りないと思っているときに、オブザーバーとしてのお声がけをいただきました。今回は、皆様の対話に耳を傾ける立場にありましたが、そのおかげで、すごいことに気が付いてしまいました。

 

様々な世代、様々なバックグラウンドを持つ皆様が対話する姿に、感動を覚えていたときのことです。ふと、「この対話の場には、塾生だけでなく、ここ日本に生きた何百年前、何千年前の大先輩たちもいるのではないか」、と感じたのです。縄文時代に想いを馳せ、伝統文化を学び、古典の魅力を知り、近代化につとめた人たちの当時を想う…。一朝一夕でできたわけではない、日本のこころ。無数の人々の日常が、暮らしが、営みが、お天道様を見上げて「あー、ありがたい」と感謝した日々が、幾重にも重なりあって、私たちの細胞に刻まれていった。そう、自啓共創塾は、世代を超えた対話ができる場というだけではなく、時空も超えて過去の大先輩たちと日本のこころを語り合える場なのかもしれないと、第二期の塾生だったときには思い至らなかった気づきを、得ることができました。皆様と共に、先人たちの想いをもう一度追体験し、分かち合う場を持てたこと、そして新たな視点や視座、たくさんの刺激とインスピレーションをいただいたことに感謝します。

 

今、世界に足りない部分の多くが、日本のこころにはあると感じています。そのことを学び、感じ取った私たちが、日本人の奥ゆかしさをちょっとだけ超えて世界に発信していく、そんなときが来ているのではないかと思います。これからも共に学び合い、共に日本のこころを発信する仲間として、一緒に活動していけたらと願っています。

塾頭 岩﨑隆(第三期アドバイザー、第四期より塾頭)

 

卒塾おめでとうございます。8カ月間の学びはいかがでしたか?

 

僕は皆様と同じ塾生として昨年学ばせていただき、塾での体験を活かし第3期の進行やオブザーバー役を何度か務めさせていただきました。ありがとうございます。

 

高校生、大学生から、社会人、海外在住者や、外国籍の人、そして私のような年齢の者までが、共に学び、相互に想いを述べ合い、互いに刺激を与えあえる場、自啓共創塾は皆さんにとっても、きっと素晴らしい体験道場だったのではないかと思います。

 

ノウハウやハウツーを一方的に知識として受け入れるだけの研修、講演ではなく、一人の人間として、自身の生き方、考え方がどうあるべきか、そんな人間力の源泉を育む場であったのではないでしょうか?! 3年後、5年後、10年後、皆さんが各界、各層で活躍されている時、この自啓共創塾での気づきが活かされるのではないかと思います。

 

是非、友人知人にご推薦頂き、第4期を一緒に盛り上げていきましょう。

日本人として、「世界のための日本のこころ」この言葉は一生大切にしたいと思っています。

塾頭 栗原康剛

Japan Prideイニシアチブ発起人

 

「“世のため人のため”という志と日本人が気にしがちな“世間”は同じものか否か」「過度に競わず、ニッチを探し価値を創出するというのは日本らしい生き方では」「衆議を尽くすにはどうすればいいか」「二宮尊徳の本質は実践の人であること」「“ほのめかし”とは、“相手に委ねる”こと」「生き様や人としての芯をつくるリベラルアーツを学ぶ場がなくなっている」「人間力とは何かを探求しそれを磨く」「新しいAIの時代を受け入れ習合できないか」等々、第3期のグループ対話や五感塾を通じて印象に残っている視点や問題提起の一部です。皆さんもそれぞれの学びがあったかと思います。

 

以前ご紹介の通り、私は日本の未解決課題に道筋をつけようとJapan Prideイニシアチブという活動をしています。その中で、日本のこころを学ぶ当塾と、アリストテレスと孔子の対話から学ぶ東京逍遥塾(塾長:当塾アドバイザーの荒木先生)という2つの私塾をお手伝いしつつ、「リベラルアーツの社会実装」に取り組んでいます。例えば、技術革新と掛け合わせた「技術革新を次世代²共創に導く有志フォーラム(2023年2-3月、「命の未来」をテーマに、リベラルアーツと宇宙研究・バイオ技術の識者、渋谷学園渋谷高校・東大の学生の参加を得て実施)」や「地域で学ぶリベラルアーツ塾」があります。

 

後者は「幸せの探究(利己~利他)」「幸せの実践」「信頼・人格の研鑽」を3要素とするリベラルアーツのルーツが存在する日本全国、各地域の先駆者から学び人生のパーパスを探索するコミュニティです。第一段として伊豆・伊東を舞台に来年度実施を計画し、現在プログラムづくりを行っています。冒頭に紹介した視点や問題提起はこれら3要素にも通じるものです。当塾と軌を一にし、謂わば地域展開の試みでもあります。是非、当塾でともに学んだ皆さんに何かしらご一緒頂けたらと思います。前者の有志フォーラムでも当塾関係者にご参加・ご協力頂きました。ご関心のある方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にお声がけください!

 

もちろん、これに係わらず当塾の運営や卒塾生ネットワークを含め色々な形でお付き合い頂ければ幸いです。今後とも宜しくお願い申し上げます。

塾頭 根本英明

 

グループダイアログでは毎回、オブザーバーを務めさせていただき、その都度、皆さんのやり取りを伺いながら、「成程、こんな視点や考え方もあるのか!」と学ばせていただきました。

 

これまでの人生を振り返ってみると、自分にとって日本のこころに目覚めた原点は、小学生の頃、学級文庫にあった日本歴史物語を貪るように読んだことにあります。

 

民のかまど、雁の乱れ、青葉の笛、鉢の木、櫻井の訣別‥‥等々。物語に登場した英雄、ドラマ、悲運のエピソードは、子供心をかき立て、ときに哀感を誘い、感動で胸が熱くなった思い出があります。小学生の娘にもその感動と面白さを味わって欲しいと、書店の児童書コーナーでかつて読んだものと同じような本を探したのですが、中々見つけることができませんでした。

 

いにしえの時代から連綿と伝えられてきた歴史物語は、日本人としてのアイデンティティを形成する土台でもあると思います。これを途絶えさせることなく、次世代を担う子供たちに語り伝えていくことを自らの使命の一つとしたいと考えます。

塾長 井上淳也

 

8か月のあいだ皆さまとともに学ぶことができ嬉しく思います。

今あらためて歎異抄をじっくりと読んでいます。人間の業をすべて受け入れ善悪を超えた世界観を描いた親鸞は弟子をひとりも持ちませんでした。人が念仏を唱えるのは指導者がそうさせるのではないので、誰それを自分の弟子だというのはおかしいというのです。自啓共創塾においても、私も皆さんと一緒に学ぶ同朋です。まだまだわからないこと知らないことだらけです。 

このご縁を大切にし、これからも共に学び共に行動できればありがたいことです。

塾創設者/補助教材監修者 土居征夫

 

塾と言っても、誰かが一定の考えを教える場ではなく、主催者側も、塾生とフラットに同じ目線で学びあう場であるということを大事にしてきましたが、実際には私たちの方が、後に続く多世代で多様な社会に属する塾生の方々から多くの気づきや学びを得る機会であった気がします。そして、戦後に過去を失敗だけの時代と教えられ、祖先や先達の思考体験を殆ど知らないまま育った私たち後期高齢者も含め、同じ境遇だった後輩の各世代の方々も、何となく遺伝子?に残っている直感から、そのことに素早く気づき、学び直しが始まる速さに感激しています。これから、皆さま方とご一緒しながら急速に同じような気付きが社会に広がっていく姿を求めていけば、一人一人がそれぞれに世界人類の未来への責任を感じる、主体性をもった個人と社会を取り戻していく時代が来るのは意外に早いのではないかと感じます。ありがとうございました。