第二期塾生最終レポート

祖父江謙介 名川弥奈 松本ありさ 乙咩愛海


祖父江謙介

 ウクライナ問題に端を発した各国の経済安全保障を求める動き、それによって発生する経済活動の不透明感をはじめ、世界は激動のタイミングを迎えております。

 

 その中で、先人の智慧・価値観の本質を学ぶことにより改めて、自己について考える機会を頂けました。

 

 どのような集団・組織の活動であれ、本質的には“人”と“人”の営みの中にあること。人の営みは、あまたの先人の歴史の中で生まれてきていることを改めて認識致しました。

 

 今回、偉大な先人から「日本のこころ」について学びなおし、そして、統合智の重要さを感じる機会を賜りありがとうございました。

 

 仕事柄、様々な違う意見の方々と接することが多いのですが、その意見の違いに注目するのではなく、やはり、お互い“人”であること、それぞれが目指している“幸せな世界”に着目して活動をする。そして、“和をもって尊しとなす”、“利他の精神“を大事に、よりよい社会の構築に貢献できるように自らも日々精進していきたいと改めて感じております。


名川弥奈

(1) これから先どのような世の中にしたいか。そこに日本のこころはどう貢献できると考えるか。

 

 世界的にも不確実性の高まりが叫ばれている時代であるからこそ、人々が多様な価値観を「発信」し、よりよい生き方や未来に向かって「共創」できる世の中にしていきたいと私は考えている。中でも「発信」と「共創」についてより具体的な考えたことを以下に記載した。

 

 まず「発信」については自らの言葉で思いや考えを伝えることが必要ではないか。インターネット検索であらゆる情報にアクセスできる今、文学や映画の結末は1分で手に入り、作品の解釈に関しても他人の発信した情報に悪い言い方をすればただ乗りできてしまう。自分の内側から生じた感覚も借り物の言葉で代替できてしまう。しかし、元々日本語は自らの感情の動きを、時には三十一文字もの短いセンテンスで一定の形に昇華することが可能なほど、豊富な語彙を持つ言語である。世界の人々とコミュニケーションを図る道具としての英語習得が大事なことは勿論であるが、表現力に富む日本語を母語とする我々が、疑問や違和感を言葉にして発信する術を磨き実践していくことで、社会課題に対しても新たな視点を提供するきっかけを作ることができるのではないだろうか。そのためにも、五感で日本語の豊かさを経験できるような教育(例えば、かるた遊びで百人一首に幼少から親しむ、歌枕や文学作品の舞台を実際に訪れてみる等)を積極的に取り入れても良いのではないだろうか。また、「共創」について考えるにあたっては、一つ興味深いデータがあった。平成30年の若者白書に示されていたが、世界と比較して日本の若者は「自分が役に立たない」と強く感じている層ほど「自分自身に満足している」という割合が低いようだ。つまり自分以外のものの役に立つことで相手はもちろん自分も満足を得る、つまり利他の心が根付いている表れといえないだろうか。異なる価値観を持つ他者との対話については時に困難も伴うが、こうした利他の心を素地に、武士道で示された「義(公儀)」や「仁(惻隠の情)」を以て対話を重ねることで、多くの人にとってより良い社会・世の中にするための「統合智」を深化させられるようにしたい。「武士道を身につける」というと堅苦しさがあるが、日々の経験を通じて自分のものにできるように、早期教育の段階で組み込むことができないだろうか。

 

(2)そのために、自分がこれから、または、将来取り組んでみたいこと。

 

 最近「人的資本経営」が人事領域でホットワードになっているが、これ自体は新しい発想ではなく、本塾で取り上げられてきた先人たちについても、人こそが社会を動かす原動力であり彼らに仁愛を以て向き合うことを念頭におきながら行動し、その結果、世の中に貢献する大事を成せたのではないかと考える。(1)で示した世の中を目指すために、私もまずは自分と異なる考えを持つ他者のこころを汲み、礼儀を以て接することを意識して実践したい。


松本ありさ

 これからの世界・社会に立ち向かう日本の夢

 

 世界情勢が目まぐるしく変化している今、改めて日本人があるべき姿について考えなければならないという 思いから、自啓共想塾に参加いたしました。そこから学んだ事や自分の考える日本にあり方について自分 の考えをまとめて今回発表します。 一昔前の日本は先進国として名を広げていましたが、いつの間にか発展途上国に変化しつつあります。 その理由として様々な要因があげられますが、大きな原因の一つは「日本人の謙虚さ」を失いつつある事 にあると思います。 日本が劇的に変化していた 1960 年代では、日本人は先進国から学ぶ精神が強く根付いていました。そ れは、パナソニックの松下幸之助が挙げていた謙虚さの 3 要素である「価値を知ること」、「耳を傾けるこ と」、「すべてに学ぶ心」にあると思います。

 

 まず、第一に周りの価値を知る意識をする事で、自国と先進国の状況を冷静に比較や判断をし、自国 の強さだけではなく弱さも分析できるような自国の立ち位置の分析意識が備わります。しかし、今の日本 の立場は不明瞭であり、立ち位置を確立できていない状況が長期的に続き、不正確な肯定的自己認 識をもっていると不適応を起こしてしまいます。

 

 そして第二に、周りに耳を傾ける意識をする事で、新しい気づきを得ることができるようになります。この「誰 に対しても何事に対しても耳を傾ける心」は、まさしく国を率いるリーダーに必要なスキルです。しかし今の 岸田政権は、日本の全体のバランスを分析しきれておらず、さらには偏りのある条例を出し続けて国民の 不安を助長させています。

 

 第三に、すべてに学ぶ心を持つことで、他人の意見から学ぶ姿勢が出来、ひとつの考え方に捉われずに素 直に他人の考え方から学び、様々な考えを取り入れていけるようになります。柔軟な考えで世界情勢に 後れを取らないようにしていくには必要な姿勢だと考えます。 一般的な辞書で「謙虚」という言葉を調べると、「控えめで、つつましいこと。へりくだってすなおに相手の意 見などを受け入れること。またそのさま。」などと書かれています。しかし、最近ではこの言葉の意味が「遠慮 して自分の意見を述べずに相手のどんな意見にも同調したように見せる事」というように変化してしまってい ます。 本来の日本人の勇ましい姿とは違った形で解釈されるようになった現代では、日本人は本来の日本の精 神を改めて学ぶ必要があり、日本の精神がどれだけ世界にいい影響を及ぼすことができるかを理解してい る人々が、そのきっかけを作るべきだと考えます。


乙咩愛海

「多様性を生きるこれからの時代と日本のこころ」

 

(1)はじめに

 自啓共創塾で学んだ半年間、様々な人と意見を交わし学びを深めることができました。その中で、「自分の心に基づいて行動すること、そんな自分を信じることの大切さ」、「大事なのは知識の豊富さだけでなく、自分が持つ知識から何を取捨選択するか」、「教養を身につけると自由になれる」など、自身の考え方の軸となる言葉を先輩方から教わることができました。

 

(2)これからの日本と日本のこころ

 日本では今後さらに少子高齢化が進むことを踏まえ、人種や国籍、性別、年齢を問わず、誰もが生きやすい、働きやすい環境づくりが必要になると感じます。その中で、ハード面での整備はもちろんのこと、ソフト面でも一人ひとりが違った考えを受け入れる日本のこころが大事になるのではないでしょうか。目に見えるものだけでなく、その裏にある心を汲み取れる、そんな思いやりを持つことが大切だと思います。

 

(3)そのために取り組みたいこと

 自啓共創塾では話題提供者の方々から貴重なお話を伺うとともに、参加者のみなさんと意見交換を行う中で、冒頭で述べたキーワードのように「物事に対する考え方」を学ぶことができました。今後も、幅広い年代の方々と自由に学ぶ機会を積極的につかみ、多様な考えを受け入れる力を深めていきたいと思います。