第二期塾生最終レポート

佐藤剛 安田秩都 岩﨑隆 冨田直子 匿名


佐藤剛

 自啓共創塾を通じて、日本のこころの特徴は、自然と一体となって、八百万の神に表されるような多様性をはぐくみ、その多様性の良い点をうまく取り入れて習合していく柔軟性、そして意思疎通を通じて和を以て貴しとなす精神だと学びました。

 

 一方で、この日本のこころは現代の日本人に確かに生き残っているが、現代の社会制度にこの日本のこころが浸透していない、機能していないと思うことも多くありました。

 

 セッションの中で、「もともと、日本社会は民主主義的で(ラグビーやサッカーのイメージ)、科挙制度のような画一的な制度にそぐわなかったのではないか。明治時代からの官僚制は日本の長い歴史の中では特異なものという捉え方も出来る。」という印象的なコメントがあり、日本社会は、一極集中の中央集権型ではなく、本当はもっと多様性のある分権的な社会であり、その方が日本のこころの良さが活きるのではないかと思うに至りました。

 

 また、「都市住民は不都合な真実を見なくなる」というコメントも非常に印象的で、明治維新から富国強兵の為に設計された社会制度はあまりにも効率的過ぎ、とりわけ教育制度は非常に画一的になり過ぎていて、日本のこころが持つ多様性を失わせてしまっているのではないかと思います。江戸時代、3千万人の人口に今の小学校と同じ数の寺子屋があったと聞き、当時の日本社会の教育を重視する姿勢、地方も独自に人材を輩出する力を有していた活気ある社会を想像しました。

 

 全体的に悲観論が先行する日本社会ですが、中央集権的な体制に頼るのではなく、今こそ多様性を尊重し、各個人・地方が独自に盛り立てていく強さを改めて発揮するべき時だと思います。また、世界を見ても、欧米の価値観が絶対的な尺度となりがちな世界ですが、日本のこころが持つ多様性や人間の平等性がより強く人々に認識される余地があると考えます。子どもを育てるにあたり、地域社会と接するにあたり、仕事を進めるにあたり、このような意識をもって、少しでも社会を変えていけるように行動したいと思います。


安田秩都

 「日本のこころ」が世界にとって役に立つと私が考えるのは、【個の存続より集団の和を重んじる】という観点です。特に地球環境や気候変動に関して世界的に問題意識が高まっている昨今において、利他の考えが意識せずとも根付いていることは貴重な環境であると思います。

 

 そこで、この点から特に世界の持続可能な社会のために役立てる具体的な方法として、産業界で減反政策を目指すということが挙げられると考えます。つまり、大量生産的に製品を世界にばらまくという戦略ではなく、小ロットで高単価品の商品・サービスを提供すべきと考えます。次に私が考えるこれから日本が取り組むべきテーマと分野を紹介します。

● 次世代小型原子炉の開発

● 核融合発電施設の中心部位ジャイロトロンと周辺技術

● 最先端半導体の開発

 

 今後私個人としては、このような日本発の科学技術の発展に対して何らかの役割を持って貢献したいと考えています。


岩﨑隆

1,皆さんへの勝手なご提案!

「日本製品を買い、大地に在来工法の家を建て、いいものを長く使いましょう」

車は日本車に乗り、日本の大工が建てる大黒柱と畳のある生活をし、品質のいい日本製品に囲まれ、長く大切に使う生活をしましょう。間違っても高層マンションはダメです。

「ごはん、みそ汁、漬物を食べ、粗食で、日本酒を飲みましょう」

日本人にはお米です。縄文人から続く日本人の体には、お米が一番です。発酵食品と組み合わせて祖食でいきましょう。家庭菜園の野菜が最高にうまいです。たまの美食家気取りはOKです。

「愛する人と結婚し、是非子供を産み育て、家族を大切にしましょう」

こんなこと言う人、今は絶対にダメな人と言われます。でもこんな当たり前のことも言えない世の中にしてしまったのは誰なのか?僕はあえて言います。結婚いいですよ。子育て頑張りましょう。

「自身のご先祖様を大切に思い、お墓参りをしましょう」

宗教ではありません。日本人の生き方です。日本人は連続生命観です。ご先祖様は30代さかのぼると10億人を超える。世界は間違いなくつながっていますよね!自殺も間違いなく減ります。

「道とつく何かを始めてみましょう」

柔道、剣道、合気道、弓道、茶道、華道、書道、歌道等、どの道も険しく厳しいものでしょう。

道理、道徳であり、職人国家日本を象徴するものだと思います。禅道場で瞑想を!

「本日、自啓共創塾最終日に集いし皆さん、是非式典終了後は懇親の集い直会を」

共飲、共食、これが大事です。人は集い、人は話し語らい、互いに理解し、つながり合います。

オンラインでは絶対にできないことがあります。会社の忘年会、社員旅行絶対に大事です。

 

2,自身の実践と誓い

「人徳を高めるアプリ開発を行います」

携帯で毎日入力できる、人としての徳を高めるためのアプリ開発を目指します。

「日本再生子ども機構の活動を全国に広めます」

天明茂先生や全国の共感者と共にはじめた活動を、土居先生のお力もお借りしながら日本の未来を担う子どもたちのために全国へ広げ、大きな活動となるよう努めます。

「日本の素晴らしい事業家を世界に紹介し、より良い社会創りに貢献します」

世界のために日本のこころを伝える活動の一環としての自社の在り方を追求していきます。

わが社、みちびらき株式会社の設立の原点を常に心に刻みます。

「挨拶名人と呼ばれるように日々精進します」

不機嫌そうな顔、眉間にしわを寄せている顔、威圧的、敵対的態度などを無くし、

常に明るく自分から大きな声で挨拶します。

「英語勉強します」

他国の人に自身の想いを伝えるためにも英語を道具として使えるように努力します。

日本人であることに誇りと自信をもって、次世代に素晴らしい日本を語り伝えていきます。


冨田直子

 私は、すべてのいのちが“らしく”輝き合いながら、地球一個分の資源で豊かに暮らす世界を、みんなと楽しく作りたいと思っています。そしてそんな世界を作るための新規事業やプロジェクトを、仲間と共に考えるワークショップのファシリテーションを生業としています。

 

 その際、大切にしている一つの視点が、我々は、人である前に、地球上の生きとし生けるものと共にある「いのち」であることを「思い出す」ということです。そうして思い出したいのちそのものである自分自身が、生命の持つ本質的なところからワクワクと再生するような事業やプロジェクトを起こせば、フラクタル構造にあるこの世界もまた、同時に再生していくのではないかと想っているからです。

 

 私はこれからの日本が、世界中の人が、そんなクリエイティブなインスピレーションを得に来る「世界のリトリートの場」になるビジョンを描きます。日本には、神仏儒の習合として形作られてきた“Spiritual but not Religious”の霊性があります。また、「平和」と「自然との調和」をうたう十七条の憲法の普遍的な価値観があります。さらに豊かな自然と、間(あわい)の文化があります。個の文化全盛期を前に、「我々は、個である前に、森羅万象との関係の中にあってはじめて存在する現象なのではないか」などという、問いにも思いを巡らすことができる環境が、ここ日本にはあります。

 

 私はそんな日本のビジョンの一翼を担うべく、日本人に対しても、また世界の人に対しても、「いのち」としての自分自身に立ち返るリトリートを、自然豊かな千葉は館山の地で日本のこころと共に開催できたらと思っています。そして、皆が生命が躍動するようなワクワクとしたインスピレーションを得て、各地で新しい世界を形づくるお手伝いができたらと思っています。

 

――★発表ここまで★――

 

 今回の講座を通じて、「I am Japanese」と発するときに持つ自身のイメージが、単調なものから、幾重にも重なる十二単のようなイメージに変化しました。遅ればせながらですが、まさに自分の日本人としてのアイデンティティーの輪郭が見えてきた感覚を持っています。そしてそれは、思い起こせば祖父母や両親から教えられたことであり、学校の道徳や掃除の時間から学んだことであり、また、四季折々の自然の中に身を置くことで知ったことであり、さらに祭りや年中行事、書物やマンガからも知らぬ間に取り込んできたことでした。

 

 講座を通じて、私が思い描く世界観の裏には、確かに日本のこころにあったのだということに毎回、気付かされました。ただこれは、学ばなければあまりに日常で、輪郭を持たないものでした。日本型リベラルアーツを学ぶ大切さを痛感するとともに、今湧き上がってきた日本人としての誇りを大切に、自身と世界をアップデートしつづけていけたらと思っています。

長きにわたり、貴重な学びの場を頂戴しました理事の皆様、塾頭の皆様、運営の皆様、講師の皆様、そして同期の皆様に、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。


匿名

 今私たちが生きる世界は、パソコンやスマートフォンが1台あれば、国内や世界の人々とつながり、情報やアイディア、価値観を共有することが容易にできるようになったことで、価値観の多様化が進みました。現在の世界は、自国ファーストの考え方が強まる時代となっています。国内では、これまでの多くの人の努力によって、様々な権利が社会的に広く認められ、多様な価値観が尊重される社会になりつつありますが、一方で自らの権利に関わることや、関心があるところ以外には、無関心である傾向もみられるようになってきました。

 

 自国の利益追求や個々の価値観の尊重は大切ですが、行き過ぎれば軋轢と分断を生み、社会には多くの価値観が多様に存在し、他者には関心を持たない、利己的な姿になりかねません。

 

 自啓共創塾を通じて学んだ「日本のこころ」は、この問題に立ち向かう力を示しています。

 

 一つ目には、日本のこころの特徴であり、長い縄文期に培われた古神道に仏教と儒教を習合させた十七条の憲法の精神があります。異なる意見を排除せず、それぞれの良い面を取り入れ「習合」という考え方は、現代に至るまでその後の日本の文化や思想の根本にあり、大きな影響をもたらしました。今の状況においても、対立を超えて異なる価値観にも良い点を見出し、習合させる力が、各方面での対立を和らげ、それぞれが共存できる仕組み作りに大きく貢献するのではないでしょうか。

 

 二つ目には、日本文化や思想、武士道に大きな影響を与えた禅における「利他」の精神があります。「利他」とは、自分自身を含む生きとし生けるものすべてのことを指しており、その精神もまた日本のこころの大きな要素となっています。他者への無関心ではなく、それぞれの立場において、自分と相手を分け隔てなく、自分のことのようにして、相手の立場に立ち行動し続けられることは、日常の生活から地球規模の問題に対しても力を発揮すると考えられます。

 

 日本人のこころがこれからも引き継がれていくためには、先人たちの精神や文化を学ぶ機会が身近にあることが大切です。特に、幼少期に学ぶことができればより自然に体得することができるようになります。それにより、普遍的な価値観を共有する社会に近づくのではないでしょうか。

 

 日本のこころが引き継がれていくために、今後、私が取り組みたいことは、この学びを継続して深めていくことです。近代の歴史観の他、日本の文化の成り立ちなどについて、理解を深めていきたいと考えています。

 

 そして、私の夢は、日本のこころについて学んだことを次世代の、特に幼少期の子どもたちに、伝えていくことを、ライフワークにしたいと考えています。

 

 例えば、合気道の教室を開き、武道を通じて礼儀作法や日本のこころを学んでもらう機会を提供したり、音読・素読を大切にした寺子屋のような学びの場を提供したりすることができたらと思っています。

 

 これまで学んできた中でも、それぞれの国や文化や個人の考え方のプロセスを尊重し、互いに学びあう姿勢があることが素晴らしい日本のこころの特徴であると考え、日本人であることを誇りに思うとともに、日々実践していきたいと思います。