自啓共創塾の体感プログラム

日本のこころを学ぶためには、実際に体験したり現地を訪れて体感したりすることも重要であるため、自啓共創塾では下記のプログラムを実施しています。(第一期はコロナ禍により、限られた企画となっております)


坐禅体験

・毎回の塾のはじめに、一分坐禅を行っています。

・最終回は、発表会会場にて坐禅基本体験会を実施しました。(10分説明、20分の坐禅を2回、茶礼10分)


五感塾

現地・現物の現実に五感で触れる体験を参加者同士や地域の協力者と共有する中で、「感じる力」「気づく力」を高め、学び上手になることによって人間力を育む研修です。自啓共創塾第一期の昨年は「二宮尊徳に学ぶ栃木五感塾」を開催し、第二期の本年は8月に「二宮尊徳に学ぶ相馬五感塾」、11月に「開成町五感塾」を開催しました。


「開成町五感塾」(2022年11月5日)

二宮尊徳ゆかりの地、神奈川県西部の小田原市栢山に隣接する開成町は県内面積が最小(6.55㎢)の町ですが、人口増加率、合計特殊出生率は常に県内トップクラス、全国から注目を集める自治体です。今回はまちの発展に尽力された露木順一元町長にコーディネータを務めていただき、町政に活かした報徳思想やまちづくりのことなど語らい合いながら、酒匂川沿いをウォーキングし、築300年の古民家瀬戸屋敷を訪問し、午後は伝統ある酒蔵を見学しました。

 

コーディネータ:露木順一氏(元開成町長・元日本大学教授)

酒匂川沿いウォーキングツアー(露木元町長のガイド)

瀬戸屋敷見学

株式会社瀬戸酒造店の森隆信代表取締役による講話(瀬戸屋敷・土蔵にて)

昼食・郷弁(地元産の食材を使ったお弁当)

瀬戸酒造店の蔵見学

ほろ酔い?芋こじ会

 

実施内容

 

二宮尊徳生家(小田原市栢山)の北に位置する開成町にて五感塾が開催され、塾生を含めて総勢 15名が参加しました。

 

元町長露木順一先生(塾のアドバーザーで話題提供者)の先導で酒匂川サイクリングロード、アジサイロードを辿りながら、報徳思想による町づくり、河川の氾濫から守る霞堤に先人の知恵が現代も活きていることなどを説明いただきました。

 

緑の山々に囲まれ、清らかな水の流れる田園風景を眺めつつ古民家瀬戸屋敷に到着。瀬戸屋敷では38 年ぶりに自家醸造を復活した瀬戸酒造社長・森隆信氏(建設コンサルタント出身の若手企業家)による講演。瀬戸酒造はフランスの日本酒コンクール「Kura Master」でプラチナ賞を受賞するなど注目の酒蔵です。

 

森社長を酒蔵再建に導いたのは露木先生からの一本の電話。現地を訪問した森社長が水の綺麗なことに可能性を感じ酒造再建を決心。酒造再建の物語、瀬戸屋敷を活用した人びとの交流や地域経済への寄与など、森社長の熱意が地域創生につながっていることが伝わる講演でした。

 

酒蔵見学では、杜氏の協力を得つつ現代技術や工夫も取り入れた日本酒の製造工程を見学し、手づくりのよさと機械の導入を組み合わせた新しい製造方法により、複雑で深みのある味で国内だけでなく一挙に世界で注目されるに至った過程が良く理解できました。

 

お昼は地元食材による手作り弁当に舌鼓を打ち、造られたばかりのお酒の試飲でほろ酔いになりながら、恒例の「芋こじ」で参加者の自己紹介と率直な感想が共有され、森社長を交えて活発な意見交換がなされました。

 

森社長からは、地域のイベント拠点「瀬戸屋敷」を通じた地域開発のご努力(農大と提携し麹を中心にした発酵文化大作戦、塾の IT 委託先 J―CAT 様の「Wabunka」事業との連携、町内、全国さらには米国など海外からのインバウンドに開かれた農泊推進協議会の観光振興など)をお聞きし、世界のための日本のこころセンターや自啓共創塾としてのこれからの事業連携の可能性にも期待が膨らみました。

 

どこか懐かしさを感じほっとする場所は、瀬戸酒造が世界での知名度を上げ、発信力を高めながら、官民連携により地元への誇りが生まれる場所へと発展していくことを予感させます。ひとりの志が地域の特性と人の交わりにより新たなものを生み出し、地域創生につながることに日本再生のヒントを得ながら、お腹もこころも満たされた一日となりました。

開成町の風景

古民家 瀬戸屋敷

瀬戸酒造店 森隆信代表の講演



「二宮尊徳に学ぶ相馬五感塾」(2022年8月27日~28日)

二宮尊徳の高弟・富田高慶が尽力し、報徳仕法により大きな成果のあった旧相馬中村藩(現在の福島県相馬市・南相馬市)にあるゆかりの地を訪問し、現地での空気に触れ、史跡を歩くことで往時を偲び、尊徳思想の実践者による講話と対話・交流を通じて様々な気づきや学びを得ることを狙いとして開催しました。

◆1日目

畠中正一氏(NPO法人市民活動ネットワーク相馬 代表理事)

相馬市内見学(相馬中村城、震災鎮魂記念館)

初日ふりかえり(芋こじ会)

◆2日目

坐禅体験

露木順一氏(前日本大学教授・元開成町長)の講話

南相馬市博物館見学

森 晃洋氏(南相馬市博物館 主任学芸員)の講話 

実施内容

 

二宮尊徳をテーマとして8月27日(土)~28日(日)の2日間、報徳仕法が一番成功した地である相馬市・南相馬市において、相馬五感塾を参加者9名で開催しました。

 

1日目、東日本大震災の映像を視聴後、市民活動ネットワーク相馬代表・畠中正一様講演。相馬藩が報徳仕法を取り入れた経緯、西郷隆盛が渋沢栄一を訪問し相馬の報徳仕法の継続をお願いした逸話等を講話。二宮尊徳の本質的な教えを知るにあたり、相馬に保存されている文献の研究を進めたいとのこと。その後、相馬中村城跡等の市内を巡り、相馬市伝承鎮魂記念館において東日本大震災の犠牲者を悼みました。

 

2日目、旅館の一室において、早朝座禅を実施。午前、元開成町町長露木順一先生講演。開成町長としての経験を踏まえながら、小さくても光りを放つ実績の集積が、日本全体を変える力にとなること。報徳思想の実践哲学が、地球全体の安定と平和(一円融合の世界)に導き世界を救う可能性を秘めているとのお話でした。午後は、南相馬市博物館学芸員の森晃洋様より、天明の大飢饉で人口の1/3に減少。藩も対策はしたが復興の途上、そこで取り入れたのが報徳仕法。尊徳は、仕法を最初に取り組む村はやる気があって早く成果の見やすい村を重視。また、溜池や用水路のインフラ整備を実施。優れた測量技術者などがその徳(得意分野)によりチーム尊徳として貢献。最後に報徳仕法の現在について、ため池の写真を示し、何気ない日常の風景、普通に生活していること自体が報徳仕法を現在に伝えているものとお話しされました。

 

本年11月には、二宮尊徳ゆかりの市町村が交流を図る全国報徳サミットが相馬市で開催予定となっています。21世紀の日本や世界を導く新しい価値が提供されることを期待しつつ相馬五感塾は閉会となりました。

畠中正一氏講話

相馬中村神社にて

芋こじ会



「二宮尊徳に学ぶ栃木五感塾」(2021年11月13日~14日)

栃木県にある二宮尊徳ゆかりの地を訪問し、現地での空気に触れ、史跡を歩くことで往時を偲び、尊徳思想の実践者による講話と対話・交流を通じて様々な気づきや学びを得ることを狙いとして開催しました。

◆1日目

真岡市二宮尊徳記念館 見学

露木順一氏(前日本大学教授・元開成町長)の講話「実践すること~二宮尊徳が目指した村づくり、国づくり~」 

宇都宮・栃木坐禅道場での坐禅体験

◆2日目

今市報徳二宮神社 参拝 

今市市二宮尊徳記念館 見学 

齋藤康則氏(二宮尊徳記念館学芸員)の講話「報徳仕法の集大成〜轟村一村式仕法の全容〜」 

福田昭夫氏(衆議院議員、二宮尊徳思想研究会会長・元今市市長、元栃木県知事)の講話「21世紀をつくる報徳仕法」 

 

参加塾生の声

 

私がもっとも着目すべきと感じたのは、その手前、それらの知恵が生まれる結果となった、尊徳の強い信念に基づくその「実行力」です。(中略)私もこの先、とにかく実行することに焦点をあてて生きていこうと思いました。

 

自分の足でその地に訪れ、自分の目で見、空気を肌で感じることが、何よりの学びになるのだと痛感した二日間でもありました。

 

この五感塾の中で自分が考えた進むべき道は、(中略)丸い地球が持続可能な形で、自然(天・地)と社会(人)の調和がとれており、分度・推譲により経済的にも精神的(心)にも豊かで幸福な人(ニコちゃんマーク)を最大化できる世界。